1 平成16年のNBC対策研究会の活動
NBC対策研究会の発足は、平成16年3月30日に我が国のNBC分野の第一線の専門家を
中心に、10数名のメンバーで発足しました。その後月に一度の割合で研究会を開催し、
メンバーが、過去・現在における業務の内容紹介や、研究してきた内容の発表を行い
研究会の充実に努めてきました。
NBC対策については、平成7年3月20日の地下鉄サリン事件や平成13年9月11日の米国
中枢同時多発テロ事件直後の「炭疸菌」郵送事案を契機として、本格的な対策が行われ
るようになり、中でもNBCテロへの警戒が緊急の課題となりました。
我が国においても、NBCテロ対策として、平成12年8月にNBCテロ対策会議を開催し、
各種の計画が作成され、各省庁は計画の具体化に努力されています。
民間レベルでのこの種の対策は皆無であり、研究会参加者全員が、NBC防護対策が
焦眉の急であるとの認識で一致し、本研究会が発足し、それぞれの専門家が、交代で
発表をしてきた訳であります。
NBC対策研究会で発表した項目を次に列挙します。
(1)
核・生物・化学・放射能(NBCR)共通対策
ア NBCテロ等に対するわが国の対応策
イ 民間テロ対策
ウ 交通輸送・大規模集客施設等並びに食料を中心としたテロ対策
(2)
核兵器防護対策
ア 列国の核兵器投射手段としてのミサイルに関する概論
イ EMP効果に関するシュミレータ
(3)
生物兵器防護対策
ア バイオテロとバイオハザート
イ B(生物兵器)対策
ウ ある研究所におけるバイオテロへの取組み
エ バイオ技術の進歩が及ぼすバイオテロへの影響
(4)
化学兵器防護対策
ア 化学テロ対策上の問題点
イ 化学テロと平素からの対応
ウ 旧軍毒ガス処理
エ 中国遺棄化学兵器に関する取組み
(5)
放射能防護対策
ア 放射能物質テロ対策上の問題点
イ 英国の緊急事態対処フォーラムに参加して
(6)
その他
ア 米国安全保障省に関すること
イ 今考える日本のテロ対策
ウ 環境研究・技術開発の推進調査
エ ハサル液(海洋深層水)について
以上10数回にわたり、研究発表会を開催し、研究会参加者も逐次増えて、今後の
活動を如何に進めるべきであるかとの議論となり、我々研究会メンバーのみに止まらず
広く社会的活動に発展させるべきであるとの意見が大勢を占めました。
2 NBCR対策推進機構への名称変更
NBCR対策推進機構は、一般市民を対象として、わが国において遅れている分野の
一つでる核(N)・生物(B)・化学(C)及び放射能(R)防護対策を推進していくべ
きであるとの趣旨に賛同したメンバーで構成し、名称を変更して発足しました。
この機構は、NBCR関連分野の関係者をはじめ、一般の人々にいたるまで、国・地方
自治体・企業組織・一般家庭等、国内の幅広い地域社会において、N・B・C・Rに関す
る知識を普及し、危機管理体制(人的災害・自然災害)の意識の高揚を図ると共に、
あらる分野におけるNBCR防護対策を推進するための社会活動により、市民の安全確保
に寄与する事を目的としています。
その活動は、次の通りです。
(1)
NBCRに関しての知識の普及、教育訓練の実施、危機管理啓発
(2)
NBCR(人的災害・自然災害)の防護対策に関する支援
(3)
NBCRに関する情報収集と提供及び情報の普及に関する支援協力
(4)
NBCRの破棄等の安全処理と環境保全に関する啓発並びに調査研究
(5)
NBCRの公衆衛生と環境衛生に関する啓発と調査研究及びその支援
(6)
NBCR研究のための学術集会の企画と開催等
(7)
NBCR防護に関する国際プロジェクトへの協力支援と専門家の派遣等
(8)
NBCR防護のための優良資機材等の開発と普及
(9)
NBCR防護資機材及び技術等の外国への拡散防止に関する支援
その他に上記に係る出版物の発行と教材及び資材等の販売、優良機資材の斡旋販売並び
にNBCR防護対策に関する専門家の派遣事業等を推進していきたいと考えております。